今回の記事では2023年3月に一部改良が実施された新型レクサスNX350h F Sportを試乗してきましたので、試乗レビュー、特徴、システム出力、先代との違いについてわかりやすく説明していきます。
レクサスNX350h F Sportの概要
トヨタ自動車株式会社より引用
レクサスNX350h F SportはTHS第四世代の2.5リッターのハイブリッドが搭載されているモデルとなります。このNX350hシリーズのシステム出力は243馬力となっており、ハイオク仕様ながらWLTC燃費は驚異の20.9km/lとなっています。
ちなみに、NXの名前の由来は『Nimble X(Cross)over』で俊敏なクロスオーバーから来ていますが、その名前に恥じない走行性能を有しているのがこのNX350hシリーズとなります。
グレードの観点では、三眼LEDやリアシートヒーター/電動格納などの上級な装備が標準のNX350h Version Lに対して、NX350h F SportではF Sport限定のフロントグリルデザイン、ナビゲーションデータと連動した可変減衰式のNAVI-AI-AVS、車両の1mm以下の微細な振動を抑制するパフォーマンスダンパーなど走りにこだわる装備が標準装備されているのが特徴です。
レクサス新型NX全体の説明は、『レクサスNXのおすすめグレード、乗り出し価格、選び方をわかりやすく解説!』にまとめていますので、NX全体の概要を知りたい方はこちらを先にチェックしてみてください。
レクサスNX350 F Sportの走行性能・システム出力
レクサスNX350 F Sportは、プラグインハイブリッドモデルとガソリンターボモデルの次にパワフルなモデルとなっています。
モデル名 | 特徴 | 主要諸元 |
---|---|---|
NX 350h F Sport 2WD | ・THS第4世代でフロント駆動モデル ・フロントモーターの形式は5NMでRAV4/ハリアーのプラグインハイブリッドにも採用されているハイパワーモデル | ・エンジン出力:140kw/rpm(190馬力) ・モータ出力:134kw/rpm(182馬力) ・エンジントルク:243N・m/rpm ・モータートルク:270N・m/rpm ・車両重量:1,750kg ・WLTC燃費:20.9km/ℓ |
NX 350h F Sport 4WD | ・THS第4世代でE-Fourを搭載の4WDモデル ・2WDのモーター型式5NMに加えて、リアモーターに後輪駆動用のモーター4NMを採用 ・後輪の4NMモーターのスペックは軽自動車のエンジンに匹敵する出力/トルク | ・エンジン出力:140kw/rpm(190馬力) ・モータ出力:134kw/rpm(182馬力) ・リアモーター出力:134kw/rpm(54馬力) ・エンジントルク:243N・m/rpm ・モータートルク:270N・m/rpm ・リアモータートルク:121N・m/rpm ・車両重量:1,810kg ・WLTC燃費:19.9km/ℓ |
レクサスNX350 F Sportの外装デザイン
トヨタ自動車株式会社から引用
レクサスNX350F Sportの外装で特筆すべき点は、フロントのスピンドルグリルとエアインテークに緻密に施されたメッシュデザインといえます。
加えて、フロントバンバー下部にスポーティーなメッキ加飾が施されており、一目でNX350F SPORTだとわかりやすい力強い意匠も採用されています。
トヨタ自動車株式会社から引用
また、NX 350F Sportには専用デザインの大径の20インチアルミホイールが標準装備されており、サイドのFスポーツバッジに加えてフェンダーの隙間が小さく引き締まった足回りで、サイドから見ても走りの楽しさを予感させるデザインになっています。
レクサスNX350 F Sportの内装デザイン
トヨタ自動車株式会社から引用
新型のレクサスNXはレクサスの新世代としてタヅナコクピットと呼ばれる、ドライバーを中心としたデザインが採用されています。
レクサスNXのスポーツモデルであるNX350 F Sportの内装では、タヅナコクピットに加えて『F SPORT専用デザインの本革シート』、『F SPORT専用デザインのメーター』『ディンプル本革が採用されたステアリング・シフトノブ』、『アルミスポーツペダル』、『スカッフプレート』など、F SPORTの所有欲を刺激してくれる専用装備が搭載されています。
以下の画像の左がNX350h F SPORTの内装で、右がNX350h version Lの内装となっています。
F SPORT専用の本革シートはシート左右のサポートが大きく張り出しており、コーナリングなどでの体の安定性を高めてくれます。
また、フロア周りでも専用デザインのアルミスポーツペダル、スカッフプレートが施されていますので、運転席に乗るたびにスポーツモデルを購入したという満足感を抱かせてくれます。
トヨタ自動車株式会社から引用
レクサスNX350 F Sportと先代モデルの違い
レクサスNX350h F Sportと先代モデルのサイズの違い
レクサスNX350 F Sportの先代モデルはNX300h F Sportです。サイズとしては旧型NX300h F Sportに比べて新型NX350 F Sportは全長と全幅が20mm大きくなり、全高が15mm高く、ホイールベースが30mm伸びてています。そのため、先代モデルよりもワイドアンドローなスポーティーなデザインとになっています。
- 全長:4,660mm(前モデルの+20mm)
- 全幅:1,865mm(前モデルの+20mm)
- 全高:1,660mm(前モデルの+15mm)
- ホイールベース:2,690mm(前モデルの+30mm)
- 重量:1,750kg(前モデルよりも40kg軽量化)
※上記は、NX350 F Sport 2WDモデルと旧型モデルの比較表
レクサスNX350h F Sportと先代モデルの外装デザインの違い
以下の、左側の画像が先代モデルのNX300h F Sportで右側の画像がNX350h F Sportとなっています。
トヨタ自動車株式会社から引用
画像からも分かる通り、新型NX350h F Sportでは切り立ったスピンドルグリルにF Sport専用のメッシュが採用されており、一目で新世代レクサスと分かるデザインです。
また、ホイールについても20インチの大径化がされており、四方に張り出した存在感のあるホイールが高級でスポーティーな印象を与えてくれます。
レクサスNX350 F Sportと先代モデルの内装デザインの違い
以下の画像の左側が前モデルのNX300h F Sport、右側が最新モデルのNX350h F Sportの内装デザインです。
新型NX350h F Sportはタヅナコンセプトというドライバーが中心となったデザイン言語を採用しており、ドライバーの方向にチルトした14インチの大型ディスプレイと、ヘッドアップディスプレイ、ステアリングのタッチトレーサーなどが採用されています。
また、細かいところですが、アクセルペダルも吊り下げしきながらオルガンタイプに変更されており、長距離運転や細かいアクセルワークがしやすい形状に変更されています。
前モデルのNX300h F Sportはセンターコンソールにアナログ時計やスイッチ類などが多いメカメカしいデザインの一方で、新型のNX350h F Sportはシンプルで洗練されたデザインとなっています。
私個人としは新型NX350h F Sportの方が好みですが、この部分の内装デザインは個人の好き好きになると言えるでしょう。
トヨタ自動車株式会社から引用
レクサスNX350h F Sportと先代モデルのパフォーマンスの違い
また、新型NX350h F Sportのモデルの数字の番号が、全モデルのNX300h F Sportの300から350に変更されていることからも分かるように、先代モデルのNXと比べてエンジンとモーター出力についても以下の通り強化されています。
TNGAエンジンと5NM型式のモーターが採用されたTHS2が搭載されているため、システム出力が46馬力向上しているにも関わらず、燃費が1.1km/L改善するという驚異的な改良がなされています。
- エンジン出力:140kw/rpm(190馬力)※前モデルよりも28kw(38馬力)向上
- モータ出力:134kw/rpm(182馬力)※前モデルよりも28kw(38馬力)向上
- システム出力:243馬力 ※前モデルよりも46馬力向上
- エンジントルク:243N・m/rpm ※前モデルよりも37N・m/rpm向上
- モータートルク:270N・m/rpm ※前モデルと同等
- WLTC燃費:20.9km/ℓ ※前モデルよりも1.1km/Lの改善
新型レクサスNX350 F Sportの走行レビュー
では、お待ちかねのNX350h F Sportの2WDモデルの試乗をしてきましたので、レビューをしていきたいと思います。
ちなみにレクサスNXのモデル全体のメリット・デメリットはこちらの記事、レクサスNX250についての試乗レビューが気になる方はこちらの記事で試乗記も公開していますので、気になる方はチェックしてみてください。
レクサスNX350h F Sportの良い点
今回はNX350h F Sportのヒートブルーコントラストレイヤリングに試乗しました。夏場の試乗だったため、エアコン稼働の発電負荷のためにエンジンがかかりやすいレビューには不利な環境でしたが、以下のような良い点を感じることができました。
レクサスNX350h F Sportの静粛性の高さ
トヨタ自動車株式会社から引用
まず、特筆すべきは静粛性の高さです。
当初、試乗時には炎天下に駐車されていたため、エアコンとエンジンがフル稼働状態で社外から聞くとエンジン音が気になる状態でした。
しかしながら車内に乗り込むと先ほどの社外のエンジン音からは一転して、エンジン音が気にならないレベルに遮音されており乗った瞬間に高級車としての質の高さを感じることができます。
また、走行中についても20インチのホイールのロードノイズが気になるものの、ロードノイズでエンジン音がかき消されるため、1世代前のTHSハイブリッドのエンジン始動時の気になる音なども全く気になりません。
静かで速い、維持費のリーズナブルな高級車に乗りたいという方にとって、レクサスNX350h F Sportはとても良い選択肢のうちの一つと言えるでしょう。
レクサスNX350h F Sportの動力性能の高さ
トヨタ自動車株式会社から引用
NX350h F Sportはハリアーのプラグインハイブリッドに搭載されている最新型5NM型式のモーターが採用されているため、アクセルを踏んだ瞬間にトルクフルな加速を体感することができ、街中の運転においては不満が全くない動力性能となっています。
また、足回りが強化されておりプラットフォームの剛性も強化されています。通常足回りが固くなると、ビリビリとした振動を拾いやすくなるのですが、NX350h F Sportではパフォーマンスダンパーが搭載されているおかげで、スポーティーな走行と上質な乗り心地の両立がなされています。
レクサスNX350h F Sportの内装・外装の質感の高さ
トヨタ自動車株式会社から引用
最後に、NX350h F Sportの良い点は内装・外装の質感の高さです。
外から見ても分かるF Sport専用のフロントグリルの力強さと、所有する人が車に乗り込むたびに感じされる専用メーター・スポーツシート・アルミペダル・スカッフプレートなどの内装デザインが、高級SUVのスポーツモデルを所有している喜びを感じさせてくれます。
今回のNX350h F Sportの独自のスピンドルグリルのデザインはホワイトノーヴァガラスフレークなどブラック系以外の方が目立つ傾向にありますので、F Sportのデザインを外部にアピールしたい方は明るめの色を選ぶと良いでしょう。
レクサスNX350h F Sportの気になる点
NX350h F Sportの気になる点①ハンドルに伝わるエンジンの微振動
非常に満足度の高いNX350h F Sportですが、1つ大きな気になる点があります。
それは、停車時にエアコンがかかっておりアイドリングしている際と整備されたばかりの綺麗な路面で低速走行している際の、ハンドルに伝わるエンジンの微振動です。
これは、ハリアーやRAV4でも感じられた事象なので、TNGA-Kプラットフォームの欠点がそのまま引き継がれています。
走行時や通常の路面では気にならないので常に感じることではありませんが、上質な乗り心地に関わってくる部分ですのでメーカーとしては対策をすると良いのではないでしょうか。
(ただ、今後レクサスは電動化を宣言しており、ステアバイワイヤやモータードライブが搭載されれば感じなくなる悩みだとは思います)
NX350h F Sportの気になる点② Version Lと比べて硬い乗り心地
2つ目の気になる点としては、足回りの硬さと突き上げ感です。
通常の量販車と比べれば全く気にならないレベルなのですが、NX350h Version Lの20インチタイヤやNX350hの18インチタイヤを搭載されているモデルと乗り比べるとやや硬さや突き上げが気になります。
スポーツモデルなので致し方ない部分がありますが、よく車に同乗者がいるドライバーの方は、20インチのランフラットタイヤから20インチの通常タイヤに変更するか、NX350h Version Lを選ぶと良いでしょう。
(全てに100点を取るクルマは不可能なので、気になる点の2つ目は重箱のすみに近い議論かとは思います)
レクサスNX350 F Sportの最終評価
funmobiではコスト・機能・デザインのバランスによって評価をしています。
購入予算が700万円程度ある方にとっては、レクサスNX350h F Sportは上質な乗り心地と走行性能のバランスが取れているベストバイなグレードと言えるでしょう。特にガソリン価格が高騰している昨今においては、滑らかな走行フィーリングと優れた燃費性能を両立するハイブリッドモデルのF Sportの方がおすすめです。
(ガソリンターボモデルのNX350 F Sportも良いのですが、ノイジーなエンジン音とアイドリングストップの雑な振動は好事家向きといえます)
ただし、NX350h F Sportはアダプティブハイビームが搭載された3眼LEDライトなどが約18万円のオプションになっており、ムーンルーフやデジタルインナーミラーなども組み合わせると、RXのガソリンモデルであるRX350の購入も狙える価格帯になるためややコストパフォーマンスは悪区なります。
予算のあり、かつNXのサイズ感が必須の方にとっては星5つのモデルなのですが、通常のユーザーは予算に限りがあるためコストパフォーマンスの面で星1つを落とした星4つの評価としています。