皆さんこんにちは。fummobi(ファンモビ)管理人です。
トヨタ・レクサス・ホンダの車を検討される際に、『パフォーマンスダンパー』というディーラーオプションが気になっているという方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、上質な乗り心地が好きな方、長く大切に車を乗る方にとってはパフォーマンスダンパーは満足度が高まるオプションとなっています。
ただ、部品と工賃含めて10万円以上かかるため、本当に効果が出るか不安だと思いますので
今回は筆者が過去に自腹で検証したRAV4にパフォーマンスダンパーを装着して感じた検証結果を共有します。
パフォーマンスダンパーとは?
ヤマハ発動機株式会社より引用
まず初めに、1ランク上の車格の乗り心地を実現するオプションである『パフォーマンスダンパー』についてわかりやすく解説していきます。
パフォーマンスダンパーはヤマハ発動機株式会社が開発した『不快なノイズ・振動』を抑えるためのパーツで、ヤマハ発動機株式会社の登録商標となっています。
オプション価格としては工賃とパーツ含めて10万円程度となっています。ただ、10万円のパーツとなるとサスペンション交換やメンバーブレースの装着などと同じ金額帯になってくるため、パフォーマンスダンパーを検討される方は『どんな効果が体感できるのか?』、『本当に費用に見合う効果が出るのか?』が気になると思います。
そこで、実際にどのような仕組みで効果が出るのかについて解説をしていきます。
パフォーマンスダンパーの仕組みとは?
まず、最初に知っていただきたいポイントとしては、自動車は車両剛性がありますが走行中の振動やコーナリングによりマイクロメートル単位の極々微小な変形をしています。その車両の変形を伴う振動が不快なノイズや乗り心地の不満足、設置感の低下によるドライバビリティの悪化につながると言われています。
その極々微小な車両の変形を抑えるために提供されているパーツが、パフォーマンスダンパーです。
これからパフォーマンスダンパーの詳しい仕組み・効果について解説をしていきます。
※マイクロメートル単位の微振動が本当か気になる方へ
自動車は大手の優秀な技術者が集まって5年程度をかけて開発をされているのに振動が出るわけがないと思う方もいるかもしれません。
しかし、自動車を構成するパーツはガソリン車で約3万個あり、それぞれの特性をすり合わせて、時にはゴムブッシュの硬さ調整やアスファルトシートなどを導入しながら、試行錯誤して『NVH(ノイズ:音、バイブレーション:微振動、ハーシュネス:段差などの大きな振動)』の対策をしています。
量産車においては予算とコスト、期間の関係でどうしてもマイクロメートル単位の振動に対策しきれない部分が多々あります。コストをかけられる超高級車を除いてマイクロメートル単位の微細な振動の対策をすることは困難なのが現状です。
(多くのビジネスパーソンが時間とコストと納期で、100%の仕事が難しいことは実感したことがあると思います)
パフォーマンスダンパーの仕組み
ヤマハ発動機株式会社より引用
パフォーマンスダンパーは上記のヤマハ発動機の図のように車のサスペンションのダンパーと近い形状をしています。
自動車のサスペンションのダンパーと異なる点は、サスペンションのダンパーが高速道路などの継ぎ目や段差などに対応するためセンチメートル単位の減衰を実現するのに対して、パフォーマンスダンパーはボディのマイクロメートル単位の減衰を実現する仕組みとなっています。
パフォーマンスダンパーを微細な振動がでやすい車両前後のボディ左右に固定する形で装着することで、マイクロメートル単位の車の変形を伴う振動を吸収し、熱エネルギーとして外部に発散するため、振動を抑えることができるのです。
さらに技術的な解説はヤマハ発動機株式会社が論文を公開しているので、それをチェックしてみると良いでしょう。
パフォーマンスダンパーの効果とは
ヤマハ発動機株式会社より引用
パフォーマンスダンパーを装着することで、車両のマイクロメートル単位の変形を伴う振動を抑えると以下のような効果を体感することができます。
実際に私もパフォーマンスダンパーをRAV4に装着して明らかに体感できた効果について解説をしていきます。
(他にも、パフォーマンスダンパーの効果として、ドア閉め音の上質化、オーディオの音質向上、タイヤの摩耗減少などがあるそうですが、私の場合は車種・所有期間・感覚などの要因もあり感じることができませんでした)
パフォーマンスダンパーの効果①スムーズなコーナリング
高速道路などで比較的早いスピードでコーナーに入った場合に、RAV4のような車高の高いSUVですと特にロール(車体が大きく左右に傾くこと)が発生します。
RAV4のようにアメリカンな乗り心地で足回りが固くない車の場合、高速道路のカーブは緊張感を持って運転しなければなりませんでした。
しかしパフォーマンスダンパーを設置すると、安定感が高まり、カーブでもステアリングがビシッと決まり高速域でのカーブも安心して走行することができるようになりました。
高速道路は制限速度を守り安全に運転することが大事ですが、パフォーマンスダンパーをつけると体感として10-20kmほど遅い速度でコーナーを走っているようなスムーズさと安心感があります。
パフォーマンスダンパーの効果②1ランク上の乗り心地を実現
パフォーマンスダンパーの体感できた2つ目の効果としては、『1ランク上の上質な乗り心地』が挙げられます。
私の所有していたRAV4はガソリンのアドベンチャーでオールシーズンタイヤが装着されていたこともあり、TNGA-Kプラットフォーム特有のアクセルやハンドルの微振動や走行時のタイヤからのノイズが気になっていました。
しかしながら、納車後1ヶ月点検の際にパフォーマンスダンパーをRAV4に装着してもらったところ、明らかにステアリング・アクセルの振動が減少し、タイヤからのロードノイズも少なくなりました。特に新しい綺麗な舗装路面を走るとハリアーや1世代前のレクサスのような乗り心地に変化したかのようでした。
RAV4で感じたパフォーマンスダンパーの効果をレビュー
トヨタカスタマイジング&ディベロップメントより引用
実際に私が自腹でRAV4のガソリンアドベンチャーにパフォーマンスダンパーを装着したきっかけについても詳細に解説します。
RAV4へのパフォーマンスダンパーの導入経緯
私がRAV4にパフォーマンスダンパーを装着した最も大きな理由としては、ロールの大きさでした。直前に乗っていた車両が中古のBMW Xシリーズだったということもあり、高速道路のカーブでの不安定感がとても気になっていました。
サスペンションやメンバーブレースなども色々と調べたのですが、個人的にメーカーが設定しているサスペンションや剛性対策はバランスが取れているため変えたくないという思いが強くどうするべきか悩んでいました。
そんな時に、自動車メーカーに勤める友人からパフォーマンスダンパーを紹介されたのがきっかけです。私も自動車業界で仕事をしていた際に、コストや納期の観点からNVH対策の限界を横目で見ており、さらにトヨタの公式のディーラーオプションとしてもパフォーマンスダンパーが採用されていることも分かり導入を決めました。
※全般的にディーラーオプションの選定は、メーカーの担当者がエビデンスを見ながら選定しているため明らかに効果のでないようなものは採用されないため信頼感があります。
(一方で収益性や検討時間の問題で、良いオプションもディーラーオプションに採用されていないケースもあるので一概にディーラーオプションに掲載されていないからダメ、というわけではないので注意が必要です)
RAV4へのパフォーマンスダンパーの装着時期
RAV4のパフォーマンスダンパーの装着時期は1ヶ月点検のタイミングで装着をしました。
私の場合は、ディーラーと相談した上で楽天市場で購入して、ディーラーに持ち込んで設置してもらうことにしました。
(数年前の話ですので、ディーラーによっては持ち込みNGになっている場合もありますので注意が必要です)
パフォーマンスダンパーは、締め付けトルクなどが厳格に決まっており、また車両を持ち上げて装着することが必要なため信頼できるディーラーや工場にお願いすると良いと思います。
RAV4へのパフォーマンスダンパー導入後の満足感
最初は10万円近く払ってパフォーマンスダンパーの効果が感じられなかったらどうしようと悩んでいました。
ただ、実際にRAV4にパフォーマンスダンパーを装着すると、1つ上の車格であるハリアーや1世代前のレクサスと同じような乗り心地を体感することができました。
RAV4とハリアーでの同じ装備での価格差が40万円ほどありますので、+10万円でRAV4のアウトドア感のあるデザインと1つ上のランクの乗り心地が体感できるのは費用対効果が高いため、パフォーマンスダンパーは興味のある方には強くお勧めできるオプションです。
押さえておきたい、パフォーマンスダンパーの注意点
パフォーマンスダンパーの良い点について解説してきましたが、次に実体験として感じたパフォーマンスダンパーを装着する際の注意点について解説していきます。
①パフォーマンスダンパーは10万円以上費用がかかる
一番の注意点はコストだと思います。多くの人にとって10万円は大きな出費で、10万円があれば他にも色々と使い道があることでしょう。
実際に車好きの方であれば費用対効果を感じることができますが、同乗者や家族によっては自己満足のために10万円を使っていると見られてしまう場合があります。
10万円の使い道についてステークホルダーがいる方においては、同乗者の乗り心地が改善される点や車酔いを抑えられる可能性がある点などきちんとメリットを伝えて装着することをお勧めします。
②納車後のパフォーマンスダンパーの取り付けは事前確認が必要
基本的に多くのディーラーでは、納車前の整備施設でまとめてオプションやコーティングなどの施工がされています。
(都内のトヨタ・レクサスの場合はトヨタメトロジックなどで納車前整備をされているケースが多いです)
納車後のディーラーオプションの設置についてはそれぞれのディーラーや担当者の裁量で判断される可能性があります。ディーラーはそれぞれの地場資本で経営されていることが多いため、その会社の考え方によっては断られてしまう場合もあります。
私の場合も、引越し前にRAV4を購入したため、近くにある資本関係が違うディーラーにパフォーマンスダンパーの後付けを依頼しましたが断られた経験があります。
また、パフォーマンスダンパーを持ち込む際にはディーラーは工賃しか売上げにならないということもありますので、持ち込みに対応できるかどうかについても丁寧に相談しておくと良いと思います。
③パフォーマンスダンパーはリセールバリューには影響しない
最後に、パフォーマンスダンパーの大きな注意点としてリセールバリューに影響しないことが挙げられます。
個人間オークションなどを除き、多くの中古車買取店ではパフォーマンスダンパーという評価項目は査定にはないため、10万円するオプションですがリセールバリューには影響しないのです。長い期間乗る方であれば問題ないと思いますが、短期間で車を乗り換える方は注意が必要です。
どうしてもパフォーマンスダンパーを現金で投資回収をしたいということであれば、売却前にパフォーマンスダンパーを外してメルカリなどでパフォーマンスダンパーのパーツのみ売却することをお勧めします。
(年式や車種などにもよりますが、人気の自動車の場合は1-3万円程度は手元に残るでしょう)
④対応車種の異なるパフォーマンスダンパーは悪影響
パフォーマンスダンパーはそれぞれの車種の振動特性に応じて、最適なチューニングがされているパーツになります。
車種だけではなく、ガソリン・ハイブリッドによっても最適なパフォーマンスダンパーが異なり、品番も分かれているため自身で購入して装着する方は特に注意が必要です。
適合していない車種にパフォーマンスダンパーを装着しても、期待する効果が得られなかったり、特定の走行領域で振動が悪化したりする場合があります。
また、そもそもパフォーマンスダンパーが設定されていない車種もありますので、装着前に自分の車に対応しているパフォーマンスダンパーがあるか確認も必要です。
※なお、外車などに提供されているCOXのボディダンパーは、パフォーマンスダンパーの名称違い(ヤマハからのライセンスを受けた製品)なので、パフォーマンスダンパー同等のメリットを体感できます。
パフォーマンスダンパーはこんな方におすすめ
RAV4での実体験を元にパフォーマンスダンパーについて解説してきました。
最後にパフォーマンスダンパーの装着をお勧めしたい方について詳しく解説していきます。
SUVなど車高の高い車で振動やロールが気になる方
SUVのように車高が高く、ロードノイズに不利なオールシーズンタイヤが装着されている場合、多かれ少なかれ高速域でのロールや振動が発生します。
振動やロールがあると余計な緊張感を持って運転しなければならないため、運転疲れに影響してきます。
パフォーマンスダンパーを装着することで、明らかに高速域のコーナリングの安定感が高まり、良い路面を走っているかのような感覚を実感できるのでコスパの良い買い物になると思います。
車が好きで走りにこだわりたい方
車が好きで走りを楽しみたい方は、パフォーマンスダンパーを装着することで車両の挙動の安定やコーナリングなど1ランク車格が上がったような乗り心地を楽しめます。
パフォーマンスダンパーは自分だけが知っている通なカスタマイズということもあり、車が好きで走りを楽しみたい方にとって車に愛着が湧き実際に効果も体感できる良いオプションパーツと言えるでしょう。
買った車の乗り心地が少し気になる方
短時間の試乗では気づかなかったものの、実際に車を購入した後で乗車人員や道路環境によって想定よりも悪い乗り心地に悩まされることもあると思います。
車種や試乗環境にもよりますが、一般的に購入後の短期間での売却をすると、乗り出し価格に含まれる税金分やディーラーのマージン分で数十万円の損をしてしまう可能性があります。
少し乗り心地が気になるが短期売却も嫌という方であれば、パフォーマンスダンパーをつけて乗り心地改善をしてみることをお勧めします。
まとめ:パフォーマンスダンパーのおすすめ度
車の微細な振動を抑えて乗り心地やドライバビリティを大きく改善する、パフォーマンスダンパーのメリットを解説してきました。
大きなメリットであるコーナリングの安定性やロードノイズの低減は、多くの方がすぐに効果として体感ができるためおすすめのパーツとなります。
車好きの私としてはコストと性能で星5つをつけたいところなのですが、客観的に評価するとパフォーマンスダンパーの部品と工賃費用の10万円が少しネックになることは間違いありません。
そのため、最終評価は万人が感じられるコストパフォーマンスという観点で星を1つ落とした星4つとしています。
(5万円くらいだったら、性能とコストの観点で万人にお勧めできる星5つになったと思います)