車の購入で銀行系マイカーローンがおすすめの理由とは?

銀行系マイカーローン 車 購入

みなさんはクルマを購入する際に、支払い方法をどのよう選んでいますか?

新車でも中古車でも自分の好きな車を買う時には高揚感が溢れてしまい、支払い方法について正しい選択ができなくなってしまうものです。

今回は、自動車の購入の際の支払い方法として現金・残価設定ローンではなく『銀行系のマイカーローン』がおスメの理由について解説していきます。まだ馴染みの薄い銀行系マイカーローンの隠されたメリットについて詳しく解説していきます。

自動車購入時に覚えておきたい、3つの支払い方法とは?

車 ADAS 安全性

近年のクルマは衝突安全性やADASと呼ばれる先進運転支援システムなど、多くの安全装備が搭載されています。そのため、軽自動車でも200万円近く費用がかかりますし、Mクラスのミニバンでは300〜500万円程度かかることもざらにあります。

一昔前とは比べ物にならないくらい車両本体価格が上がっている中、どのように車の購入費用を支払うか悩ましいのではないでしょうか。主に車の購入方法は以下の3点が挙げられます。

  • 現金支払い
  • 残価設定ローン
  • 銀行系マイカーローン

日本自動車工業会の2021年の調査によると、乗用車を購入する人のうち現金購入は6割、残価設定ローンが2割、通常のローンが2割という比率になっています。それぞれの支払い方法とメリットデメリットについて解説をしていきます。

日本自動車工業会:2021年度 乗用車市場動向調査

現金支払いのメリット・デメリット

車 支払い 現金一括

ある程度の年齢の方はお金を借りることに対して心理的なハードルが高いため、現金一括払いという方も多くいらっしゃいます。ただし、低金利の時代においては、現金支払いが必ずしもベストとはいえないことに注意が必要です。

まず、現金支払いのメリット・デメリットを解説します。

現金支払いのメリット

・余計な金利支払いが発生しない

現金支払いの大きなメリットとして、誰かからお金を借りるわけではないので金利がかからないというメリットがあります。
具体的なメリットを金額で試算すると、500万円の自動車を『現金支払い』と『金利3%、5年ローン』で購入するケースを比べると、現金支払いでは39万円の金利負担を避けることができます。

・毎月の支払い管理がしやすくなる

一見便利なクレジットカードやローンなどによる分割払いですが、かなり丁寧に管理をしないと借金を抱えていることを忘れてしまい、雪だるま式に毎月の支出が拡大してしまうリスクがあります。現金一括支払いを心がけていれば、手元の貯金でやりくりするしかなくなるため、毎月の使い過ぎというリスクを抑えることができます。

・自動車の所有権が得られる

残価設定ローンやディーラーローンの場合、自動車の所有者はクレジット会社やディーラーとなります。

現金支払いの際には自動車の所有者は自分自身になりますので、所有している実感を感じることができますし、売却時にクレジット会社やディーラーとの調整が不要で気軽に手放すことができます

現金支払いのデメリット

・手元の現金預金が減少する

当たり前のことですが、自動車の数百万円の費用を現金一括で支払うと多くの人にとって大幅な預金の減少につながります。

手元に現金がない場合、結婚・子供の大学入学などのライフイベントや予期しなかった入院での収入減少と費用支払いなど突発的な支払い対応が難しくなるリスクがあります。

また、手元資金の減少と物入りが重なり、通常の借入をしなければならなくなった場合、車のような資産購入とは異なるため属性によっては借入が難しかったり、マイカーローンと比べて高い金利が発生する可能性があります。

残価設定ローンのメリット・デメリット

残価設定ローン

高価格帯の自動車購入層の3割以上が残価設定ローンで購入すると言われています。

残価設定ローンは3〜5年後の買取金額を保証することで、毎月の支払いを軽減する支払い方です。残価設定ローンの終了タイミングで、残価を一括で支払って購入するか、車を返却して月々の支払いを終了させるか等の方法を選ぶことができます。

最近メジャーな支払いとして認知が広がってきている残価設定ローンのメリット・デメリットについて説明をしていきます。

残価設定ローンのメリット

・通常のローンよりも月々の支払い金額が少なくて済む

残価設定ローンは買取金額を保証し、『購入金額の本体費用(金利含む)』と『残価設定ローン期間満了時の買取保証価格(残価)』の差額を期間で割り算して、その費用を毎月支払う形になります。

わかりやすく説明するために、残価設定ローンの試算シミュレーションをしてみると、残価設定ローンの総額400万円、借入期間5年間、金利5%、残価設定額100万円とすると月々の支払い金額を6.2万円ほどに抑えることができます
※ローン総額400万円、金利5%、5年間の通常ローンの場合は月々の支払い金額が7.5万円となります。

・手元に現金を残しておける

ローンのメリットとしては手元に現金を残しておけることが大きいです。現在は現金預金に余裕があっても突発的な入院などで収入減少と入院費の支出増加などが重なると、多くの人にとって現金の減りが不安になるかと思います。

ローンであれば毎月の支払いで平準化ができ、手元に購入費用の数百万円が残せておけるので万が一の支出に備えられることがメリットです

・残価が決まっているので、売却時のリセール悪化のリスクが低い

残価設定ローンの大きな特徴として、残価支払い期間終了時の買取金額が保証されていることにあります。購入した車種の買取相場の悪化などがあったとしても当初設定した残価で買い取ってくれるため、先が見通しやすい部分にメリットがあります。

※設定するオプションやグレードによって残価率が異なりますので、残価率の高い人気の車両構成を選ぶことが重要です

残価設定ローンのデメリット

・金利の支払い負担が大きい

残価設定ローンは一般的に3-6%程度の金利となっており、銀行系のマイカーローンよりも金利負担が大きくなっています。
そのため、最終的な支払い金額が現金支払いや銀行系のマイカーローンよりも大きくなってしまうことがデメリットです。

例えば、借入期間5年間で金利2.5%の銀行系マイカーローンと借入期間5年間で金利5%、残価100万円の場合の支払い総額でシミュレーションをすると、最終的な支払い総額は残価設定ローンの方が約30万円ほど多くなります。
(なお、現金と比較すると残価設定ローンの支払い総額は約65万円ほど高くなります)

・車の所有権がディーラーにある

残価設定ローンの場合、車両の所有権がディーラーにあるため車検証の名義がディーラーとなります。そのため、途中解約をする場合には、売却時に残っている残価を一括で精算することが求められます。

走行距離の超過や大きな事故などがあると残価が設定よりも安くなってしまうため、そのような状況で途中解約をする場合に支払い総額が大きくなってしまうリスクがあります。

また、車検や点検などで車検証を見られるのでユーザーがどのような方法で購入したかわかってしまうという隠れたデメリットもあります。

・走行距離やカスタマイズに制限がある

前述の通り、残価設定ローンは買取金額を保証してくれる代わりに、決められた走行距離内で収めなければ行けなかったり、カスタマイズができなかったりします。

自分名義で車を保有することに比べると自由度が下がってしまうというデメリットがあります。

銀行系マイカーローンのメリット・デメリット

銀行系マイカーローン

車を購入する際にはディーラーでやりとりをするため、多くの場合でディーラーとのやり取りだけで完結する一括支払い又は残価設定ローンで支払う方が約8割と大半を閉めています。

馴染みの薄い銀行系マイカーローンのメリット・デメリットについて丁寧に解説をしていきます。

銀行系マイカーローンのメリット

・手元に現金を残しておける

こちらは残価設定ローンでも解説した通り、ローンのメリットとしては手元に現金を残せることです。
手元に資金を残しておければ、その資金を投資に回してリターンを得たり、万が一の際の支出に備えることが可能になります。

・ローンの中で金利負担が軽い

ローンには残価設定ローン、ディーラーローン、目的別ローンなど借りる先によって種類があります。ただ、ディーラーやクレジット会社は銀行や株主などから調達した資金を貸し付けてリターンを得ることが目的なので、通常の市場の金利よりも大幅に高い金利設定がされます。

しかしながら銀行系ローンであれば、銀行自身が貸し付けているため金利の設定が他のローンに比べて低いことが特徴です。

借入金利が3%未満であれば、手元に資金を残しておいて手元資金を投資してリターンを得ることで、現金支払いよりもトータルの支払い金額を抑えるということも可能になります。
(投資にはリスクが伴うため、必ずしもリターンが得られるわけではないことに注意は必要です。)

・カスタマイズや走行距離に制限がない

銀行系のマイカーローンの場合、車の所有権が自身に残り、残価設定ローンのように事前に決められた走行距離の制限やカスタマイズの制約がありません。そのため、自分自身が保有する車として自由に活用できることがメリットです。

銀行系マイカーローンのデメリット

・審査が比較的厳しい

銀行系マイカーローンの唯一のデメリットとしては、他のローンに比べて審査が厳しいという点が挙げられます。銀行は預金などで預かったお金を元に貸付を行うため、リスクの高い属性の人には貸せないという本質的な特徴があります。

そのため、転職したての方、年収が低い方、他社からの多額の借入がある方は審査で落ちてしまう可能性があります。

また、審査についても、事前にローンが通りそうか確かめる仮審査、仮審査通過後に見積もりや年収証明を提示して最終的な確認を取る本審査というプロセスがあることにも注意が必要です。

※なお、銀行系マイカーローンについては、事前入力項目で他社の借入や昨年度の年収欄などがありますが、この数字では絶対に嘘をつかないようにしてください。金融機関との信頼をなくしてしまいますし、審査の際に銀行側も本当か嘘かわかる内容となります。

なぜ車はローンで買うなと言われるのか?

手元資金がある場合でも、現金一括支払いよりもマイカーローンで手元に現金を残しておくメリットについて解説してきました。ただ、なぜメリットがあるにも関わらず、車をローンで買うなと言われてしまうケースが多いのでしょうか?

その理由について次に解説していきます。

車をローンで買うなと言われる理由①昔は金利が高かったから

現在の日本ではすでに20年以上も低金利の状態が続いており、金利が高かった頃の時代を知らない世代も増えてきています。
ただ、バブル時代には銀行の住宅ローンですら8%近くまで上昇をしていたことがありました。

その時代を知っている人からすると、ローンで借りると莫大な金利を支払わなければならないという感覚が残っているため車はローンで買うなとアドバイスする場合が多いと言えるでしょう。

実際に400万円を5年間、金利8%で借入した場合、最終的な支払い総額は約487万円となり、5年間で87万円の金利を支払わなければならなくなります。
(手元に資金を残したとしても一般の人が利回り8%以上でコンスタントに運用することは難易度が高いといえます)

車をローンで買うなと言われる理由②身の丈に合わない生活のリスクが高まるから

車をローンで買うなと言われる2つ目の理由は『生活水準が身の丈に合わなくなるリスクが高まる』ためです。

例えば、現金一括で支払って手元から自動車購入資金の数百万円がなくなってしまった場合、貯金が減ってしまった危機感から支出を抑えなければならないと感覚的にわかるでしょう。

具体的に400万円の車を購入する際に、金利3%ローンで10年間契約すると毎月の支払いは3.8万円ほどに抑えることができます。しかし、車を購入すると遠くに出かけたりする頻度も増えて外食や買い物シーンに多く遭遇します。

手元に400万円がある状態で、それを使っていいお金だと認識してしまうと、生活水準が身の丈に合わない状態になってしまい家計を破綻させるリスクが高まります。

最近ではマネーフォワードなど家計簿アプリで支出や借入の管理ができるので、車の購入でローンを使う方は導入することをお勧めします。

タイプ別、おすすめの車の支払い方法とは?

車の購入時の支払い方法について『現金支払い』、『残価設定ローン』、『銀行系マイカーローン』の3種類について詳しく解説してきました。最後にそれぞれのパターン別におすすめの支払い方法について説明していきます。

※一番良い購入方法はお金に余裕があるため手元から数百万円なくなっても問題ない家計であることです。
自動車購入の際には大きなお金が動く話なので自身のライフプランと収入を鑑みて冷静な判断をすることをお勧めします。

手元資金に余裕があり、月々の収入が多い方

手元資金に余裕があり、月々の収入がある方は『現金一括払い』に加えて、『銀行系マイカーローン』を検討することをお勧めします。月々の収入が多い方であれば、金利が比較的低い銀行系マイカーローンでの借入審査が通りやすくなる傾向にあります。

手元資金を残しておきたい方や投資に自信がある方は、銀行系マイカーローンで低金利で借入をして、手元資金を厚くしておいたり、借入金利以上の投資のリターンを目指すと良いでしょう。
(投資のリターンは20%程度が税金で引かれるため、5%以上のリターンを通常の人が実現することは難しいことに注意してください)

手元資金に余裕があるが、月々の収入が少ない方

手元資金に余裕があるが、月々の収入が少ない方は銀行系マイカーローンの審査が通過しないリスクもあるため、『現金払い』と『銀行系マイカーローン』に加えて、『残価設定ローン』の検討も視野に入れると良いでしょう。

なお、優先順位としては以下の考え方を持っておくと良いでしょう。

・手元に資金を残さなくて良いのであれば、現金払い>銀行系マイカーローン>残価設定ローンの順番がお勧めです。

  • 手元に現金を残さなくて良い方:現金払い>銀行系マイカーローン>残価設定ローンの順番がお勧めです。
  • 手元に現金を残したい方:銀行系マイカーローン>残価設定ローン≧現金払い
    ※このケースの場合、残価設定ローンの金利と現金払いのメリットデメリットを慎重に比較して判断してください

手元資金に余裕はないが、月々の収入が多い方

このタイプの方は、現金一括払いという選択肢がないため、銀行系マイカーローンを中心に支払い方法を検討することをお勧めします。ある程度年収の高い方であれば銀行系マイカーローンの審査を通過する可能性が高いためです。

ただし、手元にお金がないことは事実ですので、車を手放すタイミングでローンの一括返済ができるようにプランを組んでおく必要があります。

具体的には、売却時のリセールバリューの良い自動車(アルファード、ハリアーなど)とグレード・オプション構成を選んだり、売却時に個人オークションや業者を集めてセリ方式で売却するなどの工夫をすることをお勧めします。
(個人的には好きな車に乗って欲しいのですが、リセールバリューが悪い場合は貯金をしてから買うことも視野に入れましょう)

手元資金に余裕がなく、月々の収入も少ない方

銀行系のローン審査が通らないケースもありますので、残価設定ローンを中心に購入方法を検討すると良いでしょう。ただし、収入が少なく月々の支払いも発生する状態は家計に影響を与える可能性もありますので、お金を借りて買うという選択肢だけではなくカーシェアや貯金をしてから購入するなどのパターンも検討してみてください。

まとめ:自動車購入は、銀行系ローンも選択肢に入れよう

自動車購入の際に銀行系のマイカーローンを利用するメリットについて解説しました。

特に、今は低金利時代ですので銀行系マイカーローンであれば総額支払額を押さえながら、手元に現金を残しておくことが可能になります。

人生において車の購入は大きな買い物です。現金一括払いだけではなく手元にお金を残しておくという選択肢を持っておくことをおすすめします。